育児と食

妊娠や育児に関する食に関する情報を専門家の立場から、母親、妊婦の立場から発信したいと思います。オーストラリアでの育児、妊娠、ジェンダー論に関する雑記も多いです。どうぞよろしくお願いします!

母乳はいつまで飲ませる議論で2歳以上の継続を推進する理由

母乳をいつまで飲ませるかは母乳育児のママなら気になるところ。卒乳または断乳が早くても遅くても心配になりますよね。うちの娘は生後11ヶ月で母をいきなり拒否したのでここぞとばかりに卒乳をしました。

ひと昔前までの日本は1歳での断乳オシだったが・・

ちょっと前までの日本の母乳育児は1歳頃の断乳がお勧めされていましたよね。

理由として主なもの

・母乳の栄養が少なくなる(説明が長くなるので別記事にて記述します)

・いつまでも母乳を飲んでるとごはんを食べる量が減って栄養不足になる(カルシウム・鉄分は母乳に含まれているものより必要になるので、まあ足りないっちゃ足りない)

・早く断乳しないと甘えん坊で自立心の無い子供に育ってしまう(科学的根拠なし)

・その頃を目途に止めないといつまでもおっぱいを止められなくなる(おっぱいへの執着は確かに出てくる)

・歯が生えているのに母乳を飲んでいると虫歯になりやすくなる(虫歯になりやすいのは事実)

・次に妊娠した場合にはそれを機会にどうせ止めなければならない(子宮が収縮しやすくなるのでダメではないけどあまりおすすめされない) 

半分くらいは科学的根拠なしまたはデマですな・・

WHOが2歳以上の母乳育児を推奨している理由

とはいえ、1歳頃にピタッとみんながみんな卒乳するわけじゃないですよね。今はそれぞれの赤ちゃんのペースで卒乳をするのが推奨されています。ただ、上の論理で肩身の狭い思いをしてきた人やちょっとしたトンデモ本が「WHOが2歳以上まで授乳を推奨しているんだ!(ドヤア)」 と言うのを聞くと、ちょっと???と思ってしまいます。

WHOのHPの原文は?

www.who.int

ざっくり訳すと

生後6ヶ月までは母乳が最適な栄養源であり更には2歳以上まで母乳育児を続けるべきです。母乳育児は乳幼児の感覚や認知発達を促進し、伝染病や慢性疾患から守ります。 更には下痢や肺炎などの小児期の病気による乳児の死亡率を低下させ、病気の際の早期回復に役立ちます。 (Kramer M et al、母乳育児介入試験の推進(PROBIT):ベラルーシ共和国での無作為試験、Journal of the American Medical Association20012854):413 -420

そして母乳育児は母親の健康と福祉にも貢献します。 卵巣癌や乳がんのリスクを減らすためです。

ユニセフの見解は?

www.unicef.or.jp

要約すると

多くの途上国でもお金さえあれば粉ミルクは手に入るが、清潔で安全な飲料水を入手できる人の数はまだまだ限られている。また、多くが1日1ドル未満の生活を余儀なくされている状況の中で、そうした粉ミルクを買い続けることは難しい。

一方で母乳は赤ちゃんにとって必要な全ての栄養素を供えた「完全食品」と言われており、成長に必要な栄養素のみならず、様々な病気やアレルギーから赤ちゃんを守る免疫物質も含まれている。また、授乳時にお母さんと触れ合うことで、赤ちゃんの精神的な発達にも大切な影響を与えているとも言われている。

さらに妊娠・出産によって疲れた母体が次の妊娠に必要な体力を十分回復するまでの間、妊娠のリスクから守る。(途上国の妊産婦死亡率の高さは間隔の短い妊娠による要因もある)

本が更にわかりやすそう

WHOとユニセフが共著で母乳育児に関する本も出版されているので、こちらが更にわかりやすいと思います。

UNICEF/WHO赤ちゃんとお母さんにやさしい母乳育児支援ガイド ベーシック・コース―「母乳育児成功のための10カ条」の実践

UNICEF/WHO赤ちゃんとお母さんにやさしい母乳育児支援ガイド ベーシック・コース―「母乳育児成功のための10カ条」の実践

  • 作者: 世界保健機関,国際連合児童基金
  • 出版社/メーカー: 医学書院
  • 発売日: 2009/11/01
  • メディア: 単行本
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 NICUやGCUに勤務している看護師さん、医療関係者が購入しているようです。

発展途上国向けじゃない?この内容

原文を読むと、2歳以上の母乳育児を続ける主な理由が栄養状態と衛生状態があまり良くなく、女性の権利が守られていない発展途上国向けなのですよね。

上述にもあるように、WHOは発展途上国での実験結果を元に推奨しており、その結果が先進国にも当てはまるはずだと記述していますが、先進国では実験は行われていないと思われます。卵巣癌や乳がんのリスクが減るのは先進国ではメリットだとは思いますが。

母乳を続けることで得られるメリットと卒乳したことで得られるメリットを考えると、衛生環境が整っており、栄養満点の食事を手軽に手に入れられる日本で無理やり2歳以上続ける必要もないということではないでしょうか。赤ちゃんのタイミングに合わせるのがベストだと個人的には思いました。

気軽に読めるのはこちら

ちょっと理系な育児というブログで研究者ママがWHOのガイドラインを許可を得て翻訳していらっしゃるので、こちらで読んでみるのも勉強になるかもしれません。

rikei-ikuji.com

私はこちらの記事も読んだのですが、うーんそんなに2歳以上勧める?発展途上国向けだとしか思えないんだけど・・・とやっぱり思ってしまいました。

rikei-ikuji.com

栄養云々の話はまた別記事にて

とても長文になってしまったので、母乳が薄くなるデマwについてはまた別記事にて書こうと思います。

 

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