育児と食

妊娠や育児に関する食に関する情報を専門家の立場から、母親、妊婦の立場から発信したいと思います。オーストラリアでの育児、妊娠、ジェンダー論に関する雑記も多いです。どうぞよろしくお願いします!

学力の経済学を読んだ感想(内容ネタバレあり)

つわりに苦しんでいたらいつの間にか5月が終わっていました・・・呆然。ようやく終わりの兆しが見えてきたので久々に自分のブログに訪れました。更新していない間も訪問して下さった方々ありがとうございます。

 つわりがひどかった間は正直、何もできなかった・・・のですが、少しだけできたことが、こどもの教育やしつけについての本を読むことでした。

インテリ女子から学力の経済学を勧められました

少し前に日本で流行っていたらしく、大学院の同期の友達が将来の自分の子供の教育のために読んだ中で良かった本として紹介してくれました。 (未婚なのにもう子供の教育を考えるあたりがさすがインテリ女子)

 これまでの教育論は比較的、属人的な経験談で語られるものが多く、私の職業柄(研究者)何冊かペラペラっと読んだことはありますが、あまり参考にならないなと感じていました。よく流行るのが子供を東大に入れた母親の子育て方法とか、子供を海外有名大学に入れた母親の子育て方法とかが大っ嫌いです。

なのでこの書籍のような、ゴリッゴリの統計データで教育を語ってくれるとつい盲目的に信じたくなります。ちゃんと論文の出典もあるので、中室さんのおっしゃることが正しいかどうかも自分で確かめることができます。

まあこれも科学という宗教を信仰しているだけだと言われればそうなのですが、私はよく存じ上げない女性の言うことよりは科学を信じています。

気になる内容は?

主に海外で行われた教育における実験データから、これまでふわっと日本の子育て界や教育界で言われてきていたことをバッサバッサと切っていました。本来なら日本のデータで著者も語りたいところなのでしょうが、日本での実験データはあまり実在していないようです。まあやっぱり色々な団体から文句を言われるから実験しにくいのでしょうね。

本自体はamazonには読みやすいと書いてありましたが、一般の人は読みやすいかなこれ。それなりの数学の素養、実験の組み立て方法、論文を読んだ経験がないととっつきにくいのではと感じました。それらの部分は飛ばし読みして、結論だけ目を通すのもアリだと思います。

個人的に覚えておきたいこと

非認知能力の重要性

☆もっとも教育投資に効果があるのは小学校入学前で効果が出るのは非認知能力(学力ではない)

☆非認知能力は将来の年収、生活環境に影響が大きい

☆非認知能力が高いと学力も高くなる傾向

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図 非認知能力の説明(「学力の経済学」より引用させていただきました)

☆特に重要なのは自制心とやり抜く力。これがないと才能があっても能力が開花しない。

☆自制心は継続と反復により形成される

☆やり抜く力は自分の能力は生まれつき決まっているものではなく、努力によって後天的に伸ばせるものと信じ行動に移せること

コメント

最近では就学前の詰め込み教育はあまり意味がないと言われていますね。結局、学力は就学するとあまり大きな差がつかなくなるようです。それよりはこれまで性格と言われてきたものをいかにうまく幼児期に形成するかが重要なようです。

学力は何で決まるのか

☆学力に影響を及ぼす要素の3分の1は遺伝、3分の1は家庭環境

☆残りの3分の1が学校教育と教員の質

☆学力が自分よりやや高い友達または同レベルの友達が多い環境ほど、自分の学力が高くなる

☆問題児の存在は学級全体の学力に負の相関があり、行動にも負の相関がある

☆生まれ月によっても学力の差はあるとのこと(明言は避けられていた)

コメント

なんとも世知辛い結果・・・でも、これ、みんな何となく感じていたことですよね・・・。でもつらいですね・・。生まれた時から3分の2は決まっているようなもの。だからこそ唯一、後天的に対処が出来る子供の教育が重要なのだと感じます。

学力はどうやって伸ばせばいいのか

☆親が勉強をするように言うは効果なしまたは逆効果

☆親は勉強を見るまたは勉強の時間を決め守らせることが必要

☆親の学歴による子供の学習時間の差は顕著

☆男児は男親、女児は女親が見るのが効果的

☆親でなくても親類なら同じ効果

コメント

これ、身に覚えがある人多いのではないでしょうか。親の「勉強しなさいよ」ほとやる気を削ぐ言葉はないですよね。やっぱり親が勉強をしている姿だとか、親が直接勉強に介入する姿がないと子供も勉強へのモチベーションが上がりませんよね。意外だったのが同性の親が子供の勉強を見る方が効果的な点。

共働きだと時間の捻出がつらいですが、親類(子供の相手を投げ出さない相手)であれば同じ効果が得られるので、やはり祖父母世代の手助けはあった方がいいのでしょうね。

その他

☆褒める時は具体的な行動を褒める

☆能力を褒めない

☆目の前に置かれるご褒美は効果がある

☆ご褒美は具体的な行動に与える

コメント

これまでご意見番のような教育コメンテーターであったり、素人の母親から出ていた意見とは大きく異なる結果が出ているようです。どれもちゃんと実験が組まれ、その結果として有意差が出たようです。どちらを信じるかはその人次第ですけどね。

終わりに

子育てや教育に関する本はそれこそ星の数ほど出版されています。親である私たちがその中でベストと思える本にめぐり合うのは、なかなか難しいかもしれません。今回私はかなり良本との出会いがありました。

 

他の方の子育ても参考に♪

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