ツイッターの好きなところの一つに子育てに関する有益な情報が手に入ることがあります。最近もTL上にオススメの本が上がっていたのですぐに購入しました。親のこどもへの虐待がどれだけこどもの脳に影響を及ぼすかというものです。内容についてレビューしたいと思います。
- 子どもの脳を傷つける親たちにならないために
- 虐待という単語はものものしいけど実は身近
- 子どもの人格を否定することは虐待である
- 心理的・精神的虐待の子どもへの悪影響
- <おまけ>保育園に入れると愛着障害が起こると言う人は無責任
- もうちょっとライトな育児の本
子どもの脳を傷つける親たちにならないために
今回読んだ本はこちら↓
著者は医学畑の教授さんなので、MRIの比較画像を使った説明がかなりたくさんあります。いざ虐待を受けていないこどもと受けた子どもの脳の画像を見てしまうとけっこう心にずっしりときます。それほどこどもへの虐待って大問題なんですよね。
mi_feb_dec 速攻Kindleで読んだ。 amzn.to/2wkYYnT 自分は心理的虐待をやられた恨みがあるから、子供にやらないようにこの系統の本をかなり読んでいるけど、ベスト3に入る本。虐待されると脳のそれぞれの箇所が萎縮して問題を引き起こす話。それをMRIで説明している。 twitter.com/minaq1/status/… 2017/08/29 20:57 |
虐待という単語はものものしいけど実は身近
虐待と聞くとニュースで取り上げられるような身体的虐待や性的虐待がフィーチャーされやすいですが、日本人って心理的・精神的虐待の被害者かつ加害者が多いのではと思っています。今回もそちらに注目しようと思います。
著者は虐待という単語を使うと「自分たちはやってない!!!」と感じる親権者が多いらしいため、「マルトリートリーメント」という単語を使用しているようです。でも、私はあまり馴染みのない言葉なので、いったんここは虐待という単語を使わせてもらいます。
子どもの人格を否定することは虐待である
心理的虐待はこころに外傷を与え、こころを侵害する行為を指します。親または親権者が子どもを「ゴミ・クズ」「お前なんか生まれてこなければよかった」などと言うことでダイレクトに子どもの人格を否定する言葉を発することはもちろんのこと、きょうだいの行き過ぎる比較や両親間の中傷・親戚間の中傷 を聞かされることも入ります。
これらの虐待により子どもは自分を否定されてように感じ、自己肯定感の低下につながります。一つ一つは小さい毒かもしれませんが、感受性が強く柔らかな子どもの脳にはボディブローのようにダメージが重なっていきます。
精神的虐待の多くは子どもに対して強い言葉を使って脅したり、否定的な態度を示したりするものですが、最近は両親間のDVを目撃させることも子どもの心と脳の発達により悪影響があることが確認されています。子どもは家庭内の出来事を敏感に察知しており、多くの場合、自分が家族を守れなかったことに対し、罪悪感をもち、それがトラウマとなります。
この本によると身体的・心理的・精神的虐待で最も脳に悪い影響を与えるのは本人への言葉の暴力と両親間の言葉のDVのセットとのことです。ちょっと意外な結果に私は思えました。日本だと父親から母親へのDVを子どもが目撃してしまうことってけっこうあるのでは・・・それに経済的理由で離婚しない決断をする人も多いのでは・・・とちょっとこわくなりました。
心理的・精神的虐待の子どもへの悪影響
これらの虐待を受けると視覚野(言語・コミュニケーション)の肥大または萎縮、脳の舌状回(単語の認知)の容積が萎縮を引き起こすことが海外の調査とMRIの解析結果で出ています。
ざっくり見るとコミュニケーション能力と言語などの単語の認知能力が落ちてしまうのでしょうか。そのため、他人とのコミュニケーションの余計な負荷がかかり関わりにくくなる・語彙理解能力が落ちる・うつ・他人への強い攻撃性・感情を正常に表せなくなる・拒食症・自傷行為・薬物依存などを引き起こしてしまうようです。
<おまけ>保育園に入れると愛着障害が起こると言う人は無責任
一時期、ツイッター上の一部で話題になっていたのですが、「保育園で長時間保育をされた子どもは愛着障害が起こる」というもの。例によって何かをこじらせた専業主婦・
複数人育児をしただけの女性・大昔に保育園で働いていた女性たちが経験則または推測で発言していたようです。そこでは長時間の時間の定義、子どもの愛着障害が起きたかどうかの統計データはなく、三歳児神話・ちょっとした専門家・有名人の発言をエビデンスとして出されていました。
ここで愛着と愛着障害について定義を今一度、確認したいと思います。
愛着とは「子どもと母性的人物(父親でももちろんOK)との間に形成される、強い結びつき」すなわち「親子または養育者と子どもの関係の根幹をなすもの。親に愛されているという自信と安心感さえあれば、健全にこころの成長を遂げられる。」と定義されています。
愛着障害とは「安全が脅かされるような体験をした時に、こころを落ち着けるために戻る場所がない状態」と定義されており、親が子どもに対して虐待やネグレクトをする、あるいは養育者がなんども変わるなどが原因で、子どもにとっての安全な場所が用意されていない状態で引き起こされるとされています。
どうやったら保育園での長時間(?)保育が子どもにとっての虐待・ネグレクト・養育者が何度も変わることになるのでしょうか。発言する人は「愛着障害」という言葉の重みをちゃんと知るべきだと思います。
もうちょっとライトな育児の本
ちょっと虐待の話題は重すぎる・・・という方は以前も紹介したこちらの児童心理学のプロが書いた本がオススメです。しつけの話ですが、しつけと脳の発育や影響について書かれています。
詳しくは過去のブログ記事で紹介したのでぜひ↓
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